死亡事故とは交通事故を起きた結果、当事者のどちらか、または双方が亡くなってしまった事故のことです。自動車と自動車の事故、自動車と二輪車、自動車と歩行者など、様々なものが考えられますが、事故の内容により刑事処分と行政処分が用意されています。
こちらでは死亡事故に関する基本的なご案内をさせていただき、また、その処分の軽減についても触れさせていただきます。
当事務所では死亡事故による意見の聴取での主張、処分の軽減等のお手伝いをさせていただいております。詳しくはこちらをご覧ください。
処分の軽減(免停・取消し)詳しくはこちら
「過失運転致死」とは運転中の過失(ミス)により事故を起こしてしていまい、その結果、相手の方が亡くなってしまった場合です。仮にうっかりミスで発生した事故であっても相手の方が亡くなってしまった場合は死亡事故としての責任を取らなければなりません。
過失運転致死という言葉は刑事上の言葉ですので、刑事罰を受ける際の罪名は「過失運転致死」ですが、行政上ではこの文言は使いません。意見の聴取通知書などには「安全運転義務違反(死亡)」などと記載されます。
「危険運転致死」とは死亡事故の中でもある一定の危険な状況で起こしてしまった死亡事故のことです。一定の状況とは以下のようなものです。
・アルコールや薬物の影響で正常に運転できない状況での事故
・制御できない程のスピードでの運転をしている状況での事故
・車を制御させる技術の無い状態で運転をさせた際の事故
・他車を妨害したりする危険な運転をした際の事故
・赤信号を無視しての事項
・通行禁止道路での危険な速度を出しての事故
この場合は過失運転致死よりも危険性が高い事故であると判断され、危険運転致死としてより重い処分が予定されています。
死亡事故を起こしてしまうと行政上の処分の対象となります。行政上の処分とは運転免許の停止や取消です。これは自動車の運転を許可した者が重大な事故を起こしたため、その免許者に対してのペナルティということです。
なお、以下では特に明言していない場合は死亡事故でも危険性が低い「過失運転致死」についての案内となります。
交通事故の点数は「基礎点数」+「付加点数」の合計で計算されます。
<死亡事故の点数>
死亡事故の点数 | = | 基礎点数 | + | 付加点数 |
<基礎点数>
事故の原因となった違反のことです。事故は何らかの交通違反、つまり運転者に課せられた義務を怠ったことが原因であると考えられます。
そのため例えば、多くの場合はよそ見運転や交差点での注意不足があれば「安全運転義務違反」という違反の2点が基礎点数となります。この他にも「横断歩行者妨害」など、基礎点数として基本となる違反の点数が付されます。
<付加点数>
基礎点数の理由となる違反の結果、事故を起こしてしまったということで、事故を起こしてしまった場合は違反点数に加えて事故の被害の大きさと過失(不注意)の割合で付加点数が追加されます。
付加点数① (違反者の不注意が大きい) | 付加点数② (左記以外の場合) | |
死亡事故の 付加点数 | 20点 | 13点 |
付加点数①の付加点数は違反を犯した者の過失がとても大きい場合です。例えば青色の信号で横断歩道を渡る歩行者を轢いてしまったような場合は自動車側の過失が高くなり、20点の付加点数が付されることとなるでしょう。
<死亡事故の合計点数の例>
先の「青色の信号で横断歩道を渡る歩行者を轢いてしまった」死亡事故の例を点数として表すと何点でしょう。死亡事故は基礎点数+付加点数で決まります。
基礎点数2点(安全運転義務違反)+付加点数20点(不注意が大きい)=22点
この場合22点が死亡事故の点数となると考えられます。
死亡事故の場合でも他の違反と同じく過去3年の違反点数が累積されます。
死亡事故の累積点数 | = | 過去3年の点数 | + | 死亡事故の点数 (基礎点数+付加点数) |
過去3年の累積点数には例外なども設けられているため、そのまますべてが累積されるわけではありません。しかし、基礎点数に付加点数が付くこと、さらにその点数が累積されることになることに注意しなければなりません。
違反点数の累積計算方法
以下の表をご覧ください。処分の取消しとなる点数と欠格期間です。
<取消の点数と欠格期間(一部抜粋)>
過去3年以内の免許の 停止等の処分回数 | 免許の取消し、拒否、運転禁止 (欠格期間) | ||||
5年 | 4年 | 3年 | 2年 | 1年 | |
前歴がない者 | 45点以上 | 40点~ 44点 | 35点~ 39点 | 25点~ 34点 | 15点~ 24点 |
前歴が1回である者 | 40点以上 | 35点~ 39点 | 30点~ 34点 | 20点~ 29点 | 10点~ 19点 |
前歴が2回である者 | 35点以上 | 30点~ 34点 | 25点~ 29点 | 15点~ 24点 | 5点~ 14点 |
前歴が無い場合、15点の点数で免許の取消となります。
それでは死亡事故の点数を振り返ってみると、基礎点数は多くの場合は安全運転義務違反など2点が付され、付加点数は低くても13点です。つまり、死亡事故では、前歴が無くとも、そして過去の累積点数が無くとも、免許の取消となる点数に達してしまいます。
危険運転致死の場合は基礎点数+付加点数という計算方法ではなく、「危険運転致死=62点」という点数が定められています。こちらも免許の取消となる点数です。
上記には運転免許に関する行政処分をご案内いたしましたが、死亡事故は行政上のペナルティとは別に刑事上の罰を受けなければなりません。
不注意などで交通事故で人を死亡させてしまった「過失運転致死」の場合、以下のような罰が用意されています。
<過失運転致傷>※過失(ミス)による事故
7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金 |
特定の事情の上での事故で人を死亡させてしまった「危険運転致死」の場合、以下のような罰が用意されています。
<危険運転致死>※危険な事故
1年以上の有期懲役 |
死亡事故は人が亡くなっていますので大変重大なものです。そのため、然るべき刑罰や、運転免許の取消という処分が用意されています。検事、公安委員会、警察の全てが事の大きさを理解しています。また、加害者の心理としては人を亡くならせてしまったことへの罪悪感から、素直に罰と処分を受けたいと思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、重大な被害が出ている死亡事故でも、個別の内容を精査すれば点数通りの処分では重すぎると考えられるものも存在します。そのため、死亡事故であっても免許の取消処分の軽減はあり得ますし、刑事処分では不起訴になる可能性もあります。死亡事故だからと言って思考停止とならず、しっかりと主張をすることで適切な処分としてもらえる可能性は十分あります。そのため冷静に自身の事故のことを良く考えていただくことをお勧めいたします。
運転免許の処分の前に行われる「意見の聴取」にて自己に有利な意見を述べたり書面を提出することで、本来されるべき処分が軽減される可能性があります。また、意見の聴取の機会を逃すとその後はすぐに処分がされるため、軽減のチャンスはほぼ無くなってしまいます。
当事務所では意見の聴取に提出する書面の作成のお手伝いをいたします。やみくもに作成された書面より、根拠を持って作成された書面の方が軽減の可能性が高くなることでしょう。
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